長野県の木曽に位置する妻籠宿は、中山道六十九次のうち江戸から数えて42番目で、伊那街道と交わる交通の要衝として古くから賑わいをみせていました。

中山道の宿場町・妻籠(つまご)宿です。江戸と京を結ぶ中山道は、山深い木曽路を通ることから木曽街道とも呼ばれていました。

街道沿いには非常に多くのお店が立ち並んでいます。こちらは漆器のお店。扱う漆器はもちろん木曽漆器です。木曽漆器は、経済産業省の伝統工芸品にも認定されており、木肌の美しさを生かす「春慶塗」や、何層もの漆によってまだら模様を表わす「堆朱」などの特徴を持っています。

このあたりを寺下といい、この寺下の町並みを保存するため、昭和43年(1968年)から地域住民・行政・学者の三位一体で保存事業に着手してきました。そういった努力の甲斐もあり、現在でも江戸時代の面影を残す町並みが見られるのです。本年5月、板葺き屋根の葺き替え作業が行われました。妻籠宿内には板葺きの屋根が数ヶ所ありますが、建物の保存と葺き替え作業の伝承を目的として、「妻籠を愛する会」の方々が順番に屋根の葺き替え作業を行っているそうです。

有形文化財にも指定されている上嵯峨屋です。元は旅籠だったところで、中ではひのき笠作りの実演・販売を行ってました。なお、妻籠宿は地域住民の実際の生活の場でもあるので、時間帯によっては車も通行できます。

木曽の特産といえば“木曽ひのき”。本当の木曽ひのきは樹齢150年以上のものを指し、現在ではその数も少ないため、とても高級な木材です。

妻籠宿本陣です。本陣とは宿場を統括する人もしくはその一族の邸宅のことで、妻籠宿の本陣は島崎藤村の母方の島崎氏が代々勤めてました。(父方は馬籠の本陣)ここは江戸時代の間取り図を元に、平成7年に復元されたものです。

その向かいには、国の重要文化財にも指定されている脇本陣奥谷があります。脇本陣(わきほんじん)とは、宿場に設置された本陣の予備的施設または本陣に次ぐ役職のことで、通常その規模は本陣よりも小さいですが、格式は本陣に準じたもので、宿場の有力者が勤めました。

 

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